礼拝説教

創世記2章4節b～25節
藤井清邦牧師

　聖書は、主なる神は、土の塵で人を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。それで人は生きるものとなったと告げています。

　人間は、土の塵でつくられ、神がそこに息を吹き入れて生かして下さった、それによって生きるものとされたんだと言うのです。

　この創世記２章に出てくる「塵」というのは、風が吹けば飛んで行ってしまうような、はかなく小さなもののことです。しかし今日の御言葉は、このような人間の空しさだけを見つめているのではありません。語られているのではありません。

　土の塵にすぎないものが、神の手に取られたというのです。神が、恵みの御心によって土の塵に過ぎないものを、御手にとって下さり、いのちの息を吹き入れて下さった。わたしたちの命は神の手の中にある。わたしたちを生かして下さる方がおられるというのです。

　神こそが、わたしたちの全存在を形づくり命の息吹を吹き入れて命へ呼び出して下さる方であることを聖書は告げているのです。私たちの全存在が、神に生かされるのだということであります。

　しかし、ここにこそ、私たちのいのちの価値はあるのです。偶然に生まれたのでも、たまたま生まれたのでもない、神が、その恵みの御心によって、塵にすぎないものをも御手に取って下さり、形づくり、生かして下さるのです。神は深い恵みのご計画をもって、私たちを、あなたを呼び出して下さったのです。そこに私たちのいのちの根本があるのです。

　ヨハネ福音書の20章で、十字架に死なれ復活された主イエス様は、弟子達に息を吹きかけて、「聖霊を受けよ」と仰せになりました。

　創世記２章では、神は地の塵を手に取り、いのちの息を吹き入れて下さり、人は生きたものとなりました。しかし人は、神に禁じられた果実を食べ、神に頼るよりも、自分で生きることを選び、神に背を向けて歩むことになるのです。その結果はあまりに重大でした。人は、死ぬものとなったのです。

　しかし神は、私たちを滅びるままにはなさらなかったのです。神は、御子イエス・キリストを世に遣わしてくださり、御子キリストは私たちの罪と死をご自身にすべて引き受け、十字架の上に死なれたのです。そしてわたしたちを救い、命へと招いておられるのです。

　キリストが私たちに吹きかけて下さる息吹。それは、私たちを根底から生かす息吹です。神のいのちの息とは、私たちの全存在を生かす息吹です。キリストの息吹は、絶望と混沌の闇を吹き払う力をもった神の息吹なのです。

　主キリストは、自らの罪のためにいのちを失い、まるで地の塵のようにむなしくされた私たちを手に取り、み腕に抱いて下さり、いのちの息を吹きかけてくださるのです。そして「聖霊を受けよ。」と仰せになるのです。

　汚れたものを清め、すさみを潤し、わたしたちの受けた痛手を癒す聖霊。固い心をやわらげ、冷たさをあたためる聖霊が、まさに私たちを生かして下さるのです。

2014年6月礼拝説教より抜粋