礼拝説教

待降節メッセージ
「クリスマスの光」

~イザヤ書9章より~
藤井清邦牧師

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 待降節第一の日曜日、クランツに灯った、一つの光を囲みながら、礼拝を守ります。アドベントクランツのロウソクの光は、とてもシンボリックなものです。象徴的なものです。

この光は、照明の役割をするためにあるのではありません。この光は、もっと大切なものを、わたしたちに指し示しています。それは、キリストの光です。神様の光です。
 今日からクリスマスまで、日曜日ごとに、ロウソクの火が、一つずつ増えていきます。最後に、クリスマスイヴの礼拝で、真中の大きなロウソクに火が灯ります。

 待降節は、この地上に生きるわたしたちに、天から射し込んできたキリストの光があることを知る時です。わたしたち一人ひとり、みなさん一人ひとりに射し込んだ、救いの光があること、そしてその光が、わたしたちのどんなに深い闇をも、照らし、救う事ができることを知らされる時です。また、わたしたちの歩みが、闇へと向かうのではなく、キリストにあるなら、日ごとに光を増し加えられていく歩みであることを覚えるときなのです。

 預言者イザヤは、救い主の誕生を預言して「闇の中を歩む民は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。」と語ります。
 イザヤ書9章は、闇の中を歩む民、死の影の地に住む者たちが「くびきを負わされ」、「肩を打たれ」「虐げる者のムチによって苦しめられ」ている姿を見つめています。
 この預言者イザヤの見つめている「暗闇の中を歩む民」そして「死の陰の地に住む者」の姿というのは、かつてイザヤの時代にだけいたのではありません。預言者イザヤの告げる深い闇、死の陰の地に生きる者の姿は、わたしたちのすぐ身近に存在しているのです。
 けれども、神の御言葉である聖書は、まさにそのところに「光が輝いた」と宣言するのです。その輝く光とは、ひとりのみどりごが生まれることによってもたらされた光です。

 イスラエルの民は、自分たちを救ってくれる、新しい王の誕生を待ち望んでいました。しかし、わたしたちの世界を立派に治めることができるような王が生まれれば、それでわたしたちに平和が与えられ、涙は拭われるのでしょうか。決して、そんなことはありません。
 わたしたちの苦しみを解決するようなシステムや構造が構築されれば、それでわたしたちの世界に平和が与えられ、涙は拭われるのかといえば、そんなこともありません。
 イスラエルの民は、ダビデ王家から救い主が生まれ、ダビデ王家が末永く続くことが最も大切なことだと思っていました。そうすれば、平和な社会、苦しみのない素晴らしい世界が訪れると思っていたのです。
 しかし預言者イザヤは、ひとりのみどりごの誕生を告げます。地上の王ではなく、天からの王、つまり、神がわたしたちにお与えになる「ひとりのみどりご」、「救い主」の誕生を告げるのです。この天からのみどりご、救い主の誕生によって、暗闇の中に閉ざされ、死の陰の地にあって、涙を流し、悲しみを背負い、生きる望みを失った者たちに、大いなる光が差し込んだんだと聖書は告げているのです。

 この天からの光に照らされたときに、人々は「喜び祝」いました。暗闇の中にある人々が、喜び祝ったのです。
 闇の中にある人々は何を喜び祝ったのでしょうか? 彼らは、神様の救いの光を喜び祝ったのです!そしてその救いの光に照らされた「この自分のいのち」を、「生涯」を喜び祝うことが出来たのです。まさに、ここに、クリスマスの光は輝いているのです。

2017年11、12月 月報説教より