礼拝説教

「ノアの箱舟」

創世記6章5節~22節
藤井清邦牧師

IMG_7767b.JPG 今年の教会創立記念日、教会学校の子供たちが長い間準備をして、素晴らしい「ノアの箱舟」の出し物をしてくれました。

聖書に語られる、ノアの箱舟の物語は、人間の罪が地に満ち、神様の創造された人間の命を飲みこもうとばかりに渦巻いている、そうした罪のただ中で、神様の救いの御業がなされるという「救いの物語」です。このノアの箱舟の物語は、世界が水没したという自然災害の記録ではありません。聖書の関心は、罪びとの救いです。罪を犯した人間に、神様がどうかかわって下さるのか、そのことをこそ語ろうとしています。

今日の聖書の箇所に「ノア」という人物が登場します。
ノアは「神と共に」生きようとする者で、「ノアは神に従う無垢な人であった」(6:9)とみ言葉は伝えています。
この「神に従う人で、無垢な人」だったというのは、ノアが何一つ罪を犯さない、一般的にイメージされる聖人のような特別な存在だったということを言おうとしているのではありません。
ノアもまた、罪や弱さを抱えた一人の人間に違いないのです。しかし聖書は、ノアは「神に従う」人であったと教えているのです。このことこそが、人間の罪と悪が満ちた世界に生きるノアとその他の人々との全く異なっている姿だったのです。

ヘブライ人への手紙は、信仰の人ノアについて次のように語っています。
「信仰によって、ノアはまだ見ていない事柄について神のお告げを受けたとき、恐れかしこみながら、自分の家族を救うために箱舟を造り、その信仰によって……義を受け継ぐ者となりました。」(ヘブライ11:7)

ノアは神様のお告げを受け、御言葉を聞いたとき「恐れかしこみながら」箱舟を造りました。ノアの生き方とは、神様のお告げを恐れかしこみながら、主に従って生きる信仰の姿にあらわされています。ノアは、神に従って生きたのです。
人間の弱さの最中で、しかし呼びかけ、救おうとされる神様の語りかけに応えて生きていこうとしたノアを、主なる神様は御心にとめ、義としてくださり、お救いになったのです。

神様の恵みによって、教会へと招かれ洗礼に与った私たちの歩みも、このノアの歩みに倣うものです。
この世の旅路にあって、私たちを呼び、救いへと招いて下さる神様の御言葉に従って生きるところ、それが教会であり、主の日の礼拝の場です。

現代に生かされている私たち一人ひとりも、神様に従って生きる信仰の生き方を、自らの生き方として選び取っていきたいと願うのです。

2014年6月29日主日礼拝