礼拝説教

「永遠の命に至る水」

ヨハネによる福音書4章1~15節
藤井清邦牧師

IMG_8364.JPG 主イエス様は、ある日の正午ごろ、シカルというサマリアの町のヤコブの井戸の傍らで、一人のサマリアの女と出会われます。その女は水を汲みに来ていたのです。その水は、その女性の生活にとってなくてはならない水です。

 けれども、主イエス様が見つめておられたのは、何をもっても癒すことのできない、潤いを得ることのできない、この女性の抱える魂の奥底からの渇きでした。

 わたしたち人間が覚える「渇き」とは、肉体的渇きだけではありません。詩編の信仰者が、「鹿が谷川を慕いあえぐように、わが魂もあなたを慕いあえぐ」、わが魂は「神に、命の神に、…渇く。」(詩42編)と歌っているように、わたしたち人間は、その魂の渇きを経験するのです。命の神に渇くという経験をするのです。

 わたしたちの渇きは、何によって癒され、潤されるのでしょうか。旧約の預言者イザヤは、「憐れみ深い方が彼らを導き、湧き出る水のほとりに彼らを伴って行かれる。」(イザヤ49章)と語ります。聖書の御言葉は、人間の、魂の渇きの悲惨さをよく知っています。しかし、そのようなわたしたちを、慈しみ深い方が導いて、湧き出る泉のほとりに伴って下さる、詩編23編では、「憩いのみぎわに伴いたもう」方がおられるのだと語るのです。

 人間が与える潤いは、簡単に尽きていくものです。この世が与える水は、わたしたちに良いものを与えてくれるかもしれませんが、わたしたちの本当の渇きを癒すことは出来ないはずです。

 主イエス様は「この水を飲む者はだれでもまた渇く。しかし、わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」と仰せになりました。

 救い主イエス・キリストを信じて生きるわたしたちも、あの日のサマリアの女と同じように、主イエス様の与えて下さる命へと至る水に潤され、渇きを癒され、いのちの喜びを頂いて生きることができます。わたしたちは、時として激しい渇きを覚えたり、苦しみ悶えながら懸命に生きる、そうした日常の中でも、わたしたちの中に、主キリストによって与えられた永遠の命に至る泉がわき出してることを、御言葉によって知らされ、その水に潤されながら生きることができます。

 わたしたちの渇きは、どうして潤され、癒され、命を取り戻すことが出来るのでしょうか。それは、この一人のサマリアの女のもとへと訪ねて下さり、また今日、わたしたち一人ひとりのもとへと訪ねて「わたしの与える水を飲む者は決して渇かない」そう仰せになる主が、わたしたちの渇きを自ら代わって渇き、担って下さったからにほかなりません。

 世の渇きを、自ら担ってくださった主は、十字架の上で「渇く」と叫ばれたのです。このキリストの渇きのゆえにこそ、わたしたちに与えられた永遠の命への泉は、もはや決して渇くことが無いのです。

 キリストの全き贖いのゆえに、わたしたちは救いの泉から値なく汲んで飲むことが出来るものとされたのです。

2014年8月24日 主日礼拝