HOME「神の業がこの人に現れるため」
ヨハネによる福音書9章1～12節
藤井清邦牧師
弟子たちは、主イエス様に尋ねました。「この人が生まれつき目が見えないのは、だれが罪を犯したからですか。本人ですか。それとも、両親ですか。」非常に残酷な響きのする問いです。しかし、主イエス様は「本人が罪を犯したからでも、両親が罪を犯したからでもない。神の業がこの人に現れるためである。」と仰せになるのです。このキリストの言葉は、この目の見えない者にとって、どれほど慰めに満ちた言葉であったでしょうか。
この人は、主イエス様に出会い、その御言葉を聞き、御言葉の通りにシロアムに行って、目を洗ったのです。すると、その閉ざされた目は開かれ、見えるようになります。どこかの誰かが洗ってくれたのではありません。御言葉を聴いた者が、自らキリストの御言葉に従って、その目を洗ったのです。すると見えるようになったのです。
この目の見えない人は、ひとつの決断をしました。それは、行って洗いなさいという主の御言葉を信じ、まだ目の見えない、行く先がどこにあるのか見出だすことが出来ない盲目の中で、キリストに従って歩き出していったのです。
信仰とは、一つの決断を求められている事柄でもあります。救い主と出会って、救いのための一切を用意してくださっている主の前に、その御言葉に聞き従って生き始めていくということです。
キリストの言葉は聞くけれども、行って洗わない、キリストの言葉に従って生きようとしなければ、本当の意味でキリストの御言葉を聞いたことにはならないのです。また、キリストによって目を開かれた喜びに生きることもありえないのです。
今日の福音書は、神の御業がこの人の上に現れると宣言しています。キリストの御言葉は、この福音書に出てくる、生まれながらに見ることが出来なかった一人の人の深い闇を吹き払う力をもっていました。神の御業が現れるのです。
このキリストの言葉は、わたしたちに語られた言葉でもあります。
わたしたちは本当に見えているのでしょうか。わたしたちは本当に来りたもう救い主を見て、その慰めに生きているのでしょうか。わたしたちの人生の真ん中に、キリストの光が輝いているでしょうか。わたしたちの人生の闇は、キリストによってふき払われているでしょうか。もしそうでないなら、今日、わたしたちのもとを訪ね、シロアムに行って洗いなさいと仰せになるキリストに従って生き始めていきたいと思うのです。
自分の人生なんてと諦めたり、因果応報的に自分の人生を縛り付けたり、自分の人生に神の御業が現れる筈などないと決めつけたりするのではなくて、神の御業がこの人の上に現れると宣言して下さるキリストによって生き始めていきたいと思うのです。
神の御業が現れるのは、どこかの誰かの上ではないのです。あなた自身の上に、神様の御業が現れるのです。わたしたちはそういう生涯を生きていくことが出来る者とされているのです。
2014年9月28日 主日礼拝
