礼拝説教

ルカによる福音書9章1～6節
藤井清邦牧師

　「イエスは十二人を呼び集め――」と、今日の福音書ははじまります。その後に「十二人は出かけて行って、村から村へと巡り歩きながら、至る所で福音を告げ知らせ、病気を癒した」と続きます。

　イエスが十二人を呼び集められた、ここからイエスキリストの福音の宣教が始まっていきます。

　福音の宣教、教会の最初の伝道は、イエス様に出会った弟子たちの思い付きによって始まっていったのではありませんでした。また単に弟子たちの感激によって始まったのでもありません。主が召し集めお遣わしになる、この主キリストのご意志によって教会は出かけていくのです。

　現代の教会が伝道し、わたしたちが福音を宣べ伝えて生きるのも、わたしたちがそうしたいからというより、主イエス様がわたしたちを世に遣わしておられるからなのです。

　いま多くの教会で、高齢化や若者の不在が大きな課題となっています。しかし、だから若者に伝道しようというのは違います。教会が大変だから伝道しようというのでも、組織の充実を図るために伝道しようというのでもありません。もし、そういう筋道で伝道しようと言うのであれば、少し人間的過ぎないでしょうか。福音宣教は人間の業ではありません。

　少し前に、「ミッシオ・デイ」という言葉が盛んに用いられた頃がありました。「ミッシオ」というのは宣教のこと、「デイ」とは、神様のことです。つまり「ミッシオ・デイ」とは、神ご自身の業としての伝道のことを言っています。

　イエス・キリストがご自分のもとに、わたしたちを集められるのは、わたしたちを救うためです。しかし救うためで終わりなのではありません。主イエス様のもとに集められた弟子たちは、そこに留まり続けるために集められたのではありませんでした。救われたわたしたち一人ひとりが、イエスキリストの救いを伝える者として、この福音書の弟子たちのように、世に派遣されていくのです。

　今日の福音書の御言葉を見ますと、十二人の弟子たちは、その主イエス様の許から「出かけて行き、村から村へと巡り歩きながら、至る所で福音を告げ知らせ」たのです。

　わたしたちは毎週日曜日の礼拝に集まってきます。集まってくるということは、大きな恵みであり、素晴らしいことです。しかしそれで終わりなのではありません。礼拝は、派遣と祝福によって終わります。わたしたちは世に派遣されていくのです。礼拝は、集まることも大事ですが、そこから派遣されていくという事、礼拝から出かけて行くと言うことも、また大切な事なのです。

　では一体誰が出かけていくのでしょうか。それは、わたしたち一人ひとりです。主は、主のもとに召し集められたわたしたち一人ひとりを通して、福音を世に証ししてくださるのです。

2016年1月31日・主日礼拝説教より一部抜粋